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舞鶴で柳澤協二氏を招き「戦争法」学習会(1/25更新)

●憲法を生かす平和のための舞鶴ネットワークが「戦争法」学習会

    柳澤協二氏(元内閣官房副長官補−安全保障担当)を招いて講演会

          ーーーーーー「戦争法(安全保障関連法)は日本をどこに導くか

 

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      <講演中の柳澤協二氏>            <閉会挨拶をおこなう橋本安彦さん>

昨年9月19日の「戦争法案」強行可決に対する国民の怒りが全国に拡がる情勢の下、舞鶴において「戦争法」の廃止を 求める2000万署名を積極的にすすめている「憲法を生かす平和のための舞鶴ネットワーク」が、1月23日、「戦争法(安全保障 関連法)は日本をどこに導くか」と題して元内閣官房副長官補として鋭い批判を展開している柳澤協二氏を迎え、 戦争法学習会を開催しました。

 まず主催者を代表して「憲法をいかす・平和のための舞鶴ネットワーク」において運動を牽引している吉本晴樹 弁護士が挨拶し、続いてSEALDs KANSAIの塩田さんが「戦争法廃止」を訴える青年の活動をアピールしました。

 柳澤氏の講演は、冒頭「今、私たちが考えたいこと」として「憲法を変えることを自己実現とする安倍首相に対して、我々の自己実現をめざそう」との話から始まり、まず第1の柱として、安保法制のおさらいとして「何が決まったか」。多国籍支援等、自衛隊の派遣は地球の裏側まで拡大し、武器 使用は自己保存から任務遂行型に変わり、米軍への物品・役務は武器弾薬の供給にまでになり、軍人では ない自衛隊員への防衛出動命令違犯の罰則は強化されました。その背景には新ガイドラインによる日米 軍事一体化があると指摘します。こうして「普通の軍隊」並の武器使用=自己保存型ら任務遂行型への 移行によって危険が高まり、南スーダンにみられるような駆け付け警護において危険だから警護が必要 になる、という悪循環に嵌っていくことになること、そしてイラク派遣についても、自ら関わった教訓 として、「一人の犠牲者も出さず、一発も打たなかった」ことの意味、イラク派遣をおこなったイギリス、 スペインで起こったテロ事件、米軍の自殺率の高さが強調されました。

 次に第2の柱として「今、国民が考えるべきこととして自衛隊のリスク−現場へのしわよせ」を指摘します。 武器使用と武力行使の違いについて、前者は自衛官個人による殺傷・破壊であり、個人の殺人になるのに対し、 後者は国家による殺傷・破壊となり、軍法会議が憲法によって否定されている日本において責任は常に現場の 自衛官が負うことになり、「そのような任務を与えてはいけない」と強調、さらにイラク戦争時と現在とを比較して、 「撃つか撃たないか」は、その時の政治の「空気」で決められ、イラク派遣では抑制、安保法制では奨励の「空気」 になっていないか、さらに戦争に巻き込まれる危険として、平時からの切れ目のない米艦防護が挙げ、 米軍の武器も守る(自衛隊法95の2)や米軍とのネットワークに基づくミサイル迎撃が事実上の戦闘となること等が指摘されま した。そして「戦争とは何か−抑止力と国家像、国家の論理と市民の論理の分析から国家と国民、どちらの論理を 優先するのか」、「戦争の大義はあるか−国家論理と市民、語られないリスク」、「民主主義国はなぜ戦争するのか −劇場型政治の危険」という視点から国民の選択として強い政府か賢い政府か、巨大与党の暴走をとめるという 今日の課題、自衛隊派遣の国会承認、参議院選挙の役割が話されました。

 第3の柱の「安全保障と国際情勢」では「アメリカの船を護れば安全になる」という安倍式抑止理論の矛盾、 「中国脅威論を考える−中国外交の特徴」、「日中固有の紛争要因としての尖閣問題の本質−争われているのは ナショナリズム、問題の発端は政治であり、解決の責任も政治にある」、「自衛隊・国防以外への役割拡大の現実 性−軍事は万能でなく、無限でもない」、「ミサイルの脅威にどう対処するか」、「ISILとどう闘うか」等、 鋭い分析がなされました。そして講演の結語として「戦争は選択であり、<必要な戦争>はない」、「原爆から経済 大国へ、70年間一人も殺していない」という日本ブランドを守るべきことが強調されました。

 講演後の質疑では熱心な質問が数多く出され、大幅に時間を超過するほどでした。閉会では舞鶴ネットワークの 事務局で中心となって活動する橋本安彦さん(京都平和委員会副会長)が挨拶にたち、具体的な行動計画とよびか けがおこなわれ、学習会は盛会のうちに終りました。

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