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北朝鮮の「ミサイル発射」強行と京都平和委員会の見解(2/7更新)

●北朝鮮が「ミサイル発射」を強行(2月7日、午前9時31分頃)!!

  京都市長選投票日に「打ち上げ」とは! 私たちはミサイル発射・迎撃といった行動を望みません。日米ガイドライン・戦争法による「ミサイル防衛」は日本のためではない。憲法の精神に則り「ミサイル発射」をさせない外交努力をおこなうべきだ。                         (京都平和委員会FACEBOOKより)

 「北朝鮮の事実上の弾道ミサイル発射に抗議する」(2016年2月7日 日本平和委員会 )

 

 ○「今回の「ミサイル発射」と「ミサイル防衛」にかんしての問題整理(2月6日)」    

 経ヶ岬の自衛隊は「破壊措置命令」を受け、臨戦態勢にあるようだ。一方の米軍ミサイル防衛基地「経ヶ岬通信所」も普段より警備要員の表情が固い様子だが、外見上は警戒監視以外に目立った動きはみられていない。風雪で倒れた柵は放置されたままだ。海上自衛隊舞鶴基地(写真は6日朝現在:舞鶴平和員会撮影)では「みょうこう」は演習帰りでも「あたご」「ましゅう」とともに待機中、「ふゆづき」は定期修理中とまだ「破壊措置命令」による出動とはなっていない。

 「在日米軍」基地のほうは横須賀のミサイル防衛対応のイージス艦は警戒行動にはいり一隻は掃海艦とともに小樽にいる。三沢基地の偵察ドローン4機が運用中、三沢基地へのグローバルホーク一時展開について、東北防衛局は2015年12月5日に4機目がグアム帰還と発表。現在グローバルホークについては三沢基地からの運用はされていない模様。嘉手納基地には「水爆実験」以降大型の偵察機がやってきて、ひっきりなしに飛んでいる。佐世保には新型のミサイル監視艦「ローレンセン」も入っている。「38north」でみられるような衛星からの映像で、今回は2ヶ所から「ミサイル」が打ち上げられるとも、「ミサイル」が2基用意されているともいわれ、情報収集活動も活発化する様相にある。

そうした状況で、今回の北朝鮮の「ミサイル発射」にはアメリカは「こぶしを振り上げて対抗」というより、事態を静観、むしろ商魂たくましく北朝鮮のミサイルのデータ収集の場として見ている、という感想。1月23日から2月2日まで横田基地の「軍軍調整所」を使って、指揮所演習を中心とする「KEEN EDGE 2016」という日米の軍事演習を実施。成功裏に終わったとしている。演習の実施期日もそうだが、統幕文書に書かれているように「次期防衛計画に活かす成果を得る演習」であったことから、ミサイル防衛についても今回の「ミサイル発射」のようなシナリオがあったと推測する。

 アメリカは、核弾頭が自国本土や領域に達すると認められれば、発射される前にミサイルを基地ごと破壊することも辞さない、としている。しかしながら、今回もそこまではないというのだろうか、北朝鮮のミサイルの飛翔能力と日米韓のミサイル防衛システムが試されるときとして見守っている感じ。韓国やオーストラリアへのTHAADミサイル(ミサイル落下場所の高高度域での迎撃に使うミサイル:ロッキードマーチンやレイセオン)売り込みに絶好の機会として、アメリカの軍需産業は浮き足立っているはず。

 韓国はKAMDという独自のミサイル防衛システムを2020年代前半に構築するとして、アメリカからのTHAAD導入を避けている(今回の事態で売り込みは強まるだろう)。
オーストラリアは、北朝鮮だけでなく中国やイランからも射程に入っているとして、アメリカ軍のミサイル防衛システムの導入について研究している。軍の偉そうな人が経ヶ岬通信所の視察にも来ている。

 台湾に置かれた早期警戒レーダーは2013年から稼動して、中国からのミサイルが着弾する6分前にはキャッチするとしている。 フィリピンも shore-based missile system (SBMS)というシステムをイスラエルから購入するほかロッキードマーチンのイージスシステムの導入などミサイル防衛に着手している。

  それで、アメリカ(レイセオン)と日本(三菱重工)で共同生産が決まったSM3ブロックUAの性能が試されることになるかというと、それは疑問である。まずは通告どおり民間の船舶・航空機は予定地点を避けるため、黄海、東シナ海、フィリピン東方海上のいずれも誰もいないはずの海に落ちるとされている。もし撃たねばならない局面として迎撃ミサイルを撃って、当たれば「combat proven(実戦での証明)」となりミサイル企業だけはいいかもしれないが、北朝鮮は恐れ多くも「光明星」号を攻撃したとさらに強硬な態度に出るかもしれないし、当たらなければ名古屋に置かれる三菱重工の生産ラインが止まることになるだけでなくミサイル防衛システムの信頼性にかかわり、北朝鮮はより挑戦的になるかもしれない。

どちらになっても日本国民には得な話ではない。日本でライセンス生産をはじめたPAC3(レイセオン、ロッキードマーチン⇒三菱重工)も同様だ。ミサイル防衛システムに間違いがおこらないことを祈りつつも、北朝鮮に「ミサイル発射」を断念させ六カ国協議に戻るよう働きかける国際的協調が必要だ。

 核実験やミサイル発射など、これまで何度か北朝鮮は交渉のシグナルを送ったが、2012年の米朝合意を破棄するような北朝鮮のミサイル発射以降、アメリカはこれらを無視。その結果、北朝鮮は「水爆実験」に踏み切り、アメリカは戦略爆撃機を飛ばして米韓の同盟関係の結束を見せた。次に北朝鮮はミサイル発射でこれに対抗、非常に危なっかしいことだ。

 ともかく、日韓でうまくやれるか見極め、迎撃ミサイルが当たっても当たらなくても北朝鮮が撃ったから(同盟国が)反撃したのだというだけ、中国には北朝鮮にもっときつくと言えと求め、自分は貴重なデータを得るというアメリカのスタンスが見えてくる。こういう同盟関係はこわい。はやく解消しないと。しかも、今回のような「危機」を演出する下地として「慰安婦問題」の「最終的かつ不可逆的解決」を準備したのなら、なおのこと、軍事同盟を軸とする国家間の関係はただちに解消して、平和的・友好的にアジアの交流を促進するなかで問題の解決を図るべきである。

 日本国民としては、アメリカも中国や韓国も戦争を望んでいないし、北朝鮮はその能力があるかどうかも疑わしい、という実態をきちんと見定め、韓国もフィリピンも日本ほどの大騒ぎをしていないことも知るべきで、安倍政権の広報に惑わされないことが大事。そして、このまま日本が憲法に反する方向に突き進まないよう、戦争法を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を取り消すこと、つまりは安倍政権を退陣させることが必要である。

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<左画像>舞鶴基地に停泊する左より補給艦「ましゅう」、イージス艦「あたご」、「みょうこう」

<右画像>修理中の護衛艦「ふゆづき」(舞鶴平和委員会FACEBOOKより)

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