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映画「ザ・思いやり」上映会と講演会(6/20更新)

●何故、対米従属は70年経っても変わらないのか!

   −映画「ザ・思いやり」上映会と講演会−松竹伸幸さん(かもがわ出版編集長) 

 戦争法廃止、憲法改悪阻止をめぐる政治戦を目前ひかえた6月18日、「ザ・思いやり」上映実行委員会と京都 平和委員会が主催する上映会&講演会が開催されました。参加者は150名でした。
 冒頭、主催者を代表して岡田英樹京都平和委員会会長から、今回の上映会・講演会が戦争法施行後、
莫大な軍事予算に見られるような戦争をする国への流れを阻止し、まじかに迫った政治戦での勝利にむけて、 学習を深めようとの挨拶が述べられました。 

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<挨拶する岡田会長(左)と会場の参加者(右)>

一人のアメリカ人が米軍への”オモイヤリヨサン”の疑問に挑む映像

 前半の上映会では、今、全国で話題になっている映画「ザ・思いやり」の上映です。映画は神奈川県在住 のアメリカ人、リラン・バークレーさんの「思いやり予算」に対して鋭く追求するものです。思いやり予算とは地位協定 では本来米軍が支払うべきとされる「米軍基地の維持費や活動経費」を日本が「思いやって」支払っているもので、 これまで支払った金額は7兆円、2015年度には1899億円が計上されている。これら米軍を支える費用が年間8911億円にも 達しており、基地内の住宅や学校、からペットの世話まで負担していることに疑問をもったバークレーさんが沖縄の普天間 基地、神奈川の横須賀基地、厚木の騒音被害から日本国民が負担する米軍駐留経費の中身、米軍のグアム移転計画と土地を 奪われた人々の実情、バークレーさん自身がアメリカでインタビューし、アメリカ人さえも「めちゃくちゃよ!」言わせ、 コメディアンの松元ヒロさんが登場して「オモテナシということはウラバカリということ」というような映像も交えて、 複雑に見える米軍への負担をわかりやすく、軽妙なタッチで描いています。

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<上映会の様子(左)と講演する松竹さん(右)>

日本の対米従属を歴史的の深層をさぐり、憲法9条を生かした安全保障政策を!

 続く後半は「対米従属の謎−なぜ70年経っても変わらないのか」と題して、かもがわ出版編集長で京都平和委員会の 理事でもある松竹伸幸さんの講演です。

 松竹さんは講演の導入として、米大統領候補のトランプ氏の発言が1980年代に米国で吹き荒れた「安保ただ 乗り論」と変わらないこと、実際の日本の負担は他国と比べて突出して高いことを指摘した後、第1に沖縄の米兵 事件に関わって、対米従属の現実として、米側に裁判権があるとされる公務中の犯罪であっても、実際は誰も 裁判されていないことが、防衛省の資料から明らかにされ、さらに2004年の基地外である沖縄国際大学でおこ った墜落事件では米軍が現場周辺を立ち入り禁止とし、日本の警察の捜査さえできない事態になった事が強調 されました。そして第2にその原点として日本とドイツの占領の違いを指摘します。占領の在り様とともに、 どのような人物がリーダーであったか−ドイツのアデナウアーはナチスに最後まで抵抗したことに対し、吉田 茂は山東出兵(1927)の時の外務次官であり、戦後はアメリカの占領政策に協力した。そして日本は敗戦にとも なう占領があって、その延長として出発したが、NATO諸国は、ソ連の脅威を前に、主権国家の行為として 米軍駐留に踏み切り、その後の歴史も異なっている。そして講演の一番のポイントとなる新安保条約になっても 続く「自主性どころか軍事も経済も従属が進化」した実態が指摘されました。

 2009年の民主党内閣時代に明らかになった「日本と琉球諸島における合衆国の基地権の比較」という文書の分析から、 なぜ「事前協議」が制度として存在しても、実際には協議がされないのか、その仕組みが記述されており、それは 「日本のトップの政府関係者たちが米艦船によってときおり核兵器が日本の領海に持ち込まれていることにうすうす 気づいていながら問題の真相をつきとめようとはしないことを、強く印象づけられた。その後、ワシントンの合衆国 当局者たちは、『現行の手続き』には装備にかんする慣行が含まれるものと解釈し、岸首相はこの解釈を無言のうち に受け入れているものと受けとめた」−つまり知っていたにもかかわらず対応しない慣行があり、それが今日まで続 いているというのです。そして講演を締めくくる結びとして、「対米従属の深層」があげられます。

 2010年の鳩山政権政権崩壊のウラにはアメリカからの「安全保障認識の一体化」があり、核抑止力論が強調されます。 もともとトルーマン時代のアメリカの戦略は「対ソ封じ込め」であったものが、核の現実の使用を相手に知らせる核 抑止力論に変わり、冷戦終結後もその変化を捉えられず、検討もしていない思考停止状態に陥っているとされます。 そして松竹氏は講演のおわりに参議院選挙をひかえ「核抑止力論」に代わる「憲法9条を生かした安全保障政策」の 必要性を強調し、講演は終わりました。

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